ONE-UP!WOMANインタビュー

前向きに行動する力が、夢やライフワークと出合うための鍵になる!

株式会社けんちくや前長 とちぎの木を活かす女子の会 ~木輪(もくりん)~
豊島香折(Release.2018.12)

プロフィール

■お名前:豊島香折 ■年齢:38歳 ■血液型:AB型

経歴

2004年 株式会社けんちくや前長に入社
2012年 第1子出産
2016年 「とちぎの木を活かす女子の会 ~木輪~」設立 / 会長就任
2017年 第2子出産
2018年 「とちぎの木を活かす女子の会 ~木輪~」で第2回 輝く“とちぎ”づくり優秀賞を受賞

座右の銘

自分が笑えば相手も笑う

 

建築士は、一生に一度の家づくりに携われるやりがいのある仕事

現在のお仕事内容を教えてください。

父が創業し、現在兄が社長を務めている工務店「けんちくや前長(まえちょう)」で二級建築士として働いています。住宅の設計、現場管理のほか、情報発信や見学会開催など広報の仕事も担当しています。

なぜこのお仕事に就こうと思ったのですか?

都内の大学に進学したのですが父が交通事故に遭い、父の仕事をサポートするために地元に戻ってきました。それまで何も考えず、本当にのほほんと学生生活を楽しんでいたので…(笑)。まさか自分も兄と一緒に家業を継ぐとは思ってもみませんでした!

突然訪れた人生の転機だったんですね。家業を継ぐにあたり、大変だったことはありましたか?

父のアシスタントとして入社したので、当時はとにかく忙しかったですね。建築に関する知識もなく、ましてや社会人経験もなかったので「見積もりを作って」と言われても何をどうしたらいいのか分からなくて…。でも試行錯誤しながら業務を進めることで仕事の流れが分かるようになり、お客さまとのやり取りもできるようになってきたんです。それから本格的に建築の勉強をしたいと思い、仕事をしながら宇都宮市内の学校に通い二級建築士の資格を取得しました。

もともと建築士の資格をお持ちではなかったんですね!

そうなんですよ! 本当に未経験からのスタートでした。学校では、実技の授業が特に楽しかったです。与えられた課題に対し間取りを考えて図面を描くのですが、「私はこういう作業が好きだったのか~」とそこで初めて知ったんです(笑)。

お仕事では、どんなところにやりがいを感じますか?

家は人々にとって、一生に一度建てるか建てないかという大きな買い物になります。さらに建てて終わりではなく、そこから家族それぞれの暮らしが始まる特別なもの。お客さまが大切にしていることやライフスタイルを把握し、相談しながら理想の住まいを形にしていく作業は本当に面白く、大きなやりがいがあります。

 

▲家1棟分の木材! 栃木県産の杉や檜をふんだんに使い、伝統的な木組みの家づくりを行っています。

建築士に求められるスキルは、他に何かありますか?

お客さま、職人さんなど多くの人と関わるので、コミュニケーション能力は必須ですね。建築士の適性で「空間把握の能力」があると良いとよく言われますが、その適性が私にあったのか分かりませんし、スキルはやっていくうちに身に付くものだと思っています。全くの初心者だった私でも実務経験を経て「家づくりってこんなに楽しいんだ!」と気付けたので、どんな仕事も責任感を持って取り組めば、やりがいや魅力を見つけられのではないかと思います。

仕事をする上で大切にしていることがあれば教えてください。

何といっても笑顔ですね。自分が笑顔になれば、人からも笑顔が返ってきますから。あと、相手を尊重すること。歳を重ねるにつれ幅広い世代の人と関わる機会が多くなり、若くて優秀な人材もこれからどんどん増えてきます。自分が年上だからと驕らず、相手を認める気持ちが大切だと感じています。

 

 

女性ならではの視点で「とちぎ材」の魅力を伝えていきたい

現在、「とちぎの木を活かす女子の会 ~木輪~」の会長も務められていますが、どのような経緯や目的で会ができたんですか?

「林業に携わる女性の会を作りたい」という県からの呼びかけがあり、2016年に会が発足しました。意外と知られていないのですが、実は日本の建築物で使用されている国産材は全体の3割。国内に豊かな森林資源があるにもかかわらず、安価で安定的に供給できる外国材が大半を占めているのが林業界で深刻な問題になっています。日本の資源を有効活用するため、「木輪(もくりん)」では女性の視点から「とちぎ材」の魅力を伝える活動を行っています。林業の方はもちろん、木や自然に関心のある方なら誰でも入会でき、現在50名の会員が所属しています。

そのような問題が背景にあったのですね。とちぎ材の魅力はどんなところにありますか?

栃木県の森林は、県土面積の約55%を占めていて、私達の暮らしや環境を守る上で大切な役割を果たしています。とちぎは杉やヒノキに適した環境のため、とちぎ材は、見た目の美しさや、素足にも優しいぬくもりのある木肌や、調湿作用、香りの良さ、加工のしやすさなど良材と言われています。そして、地域で利用する事が地域経済の活性化、運搬距離が少ない事により環境負荷も最小限に抑える事ができる。など、メリットは大きいです。

会では具体的にどのような活動をされているのですか?

情報発信をするため、ラジオ番組の企画で林業・木材産業の現場へみんなで取材・レポートしに行きました。林業に関わる私たち自身も同業の方と接点がなかったので貴重な経験になりました。そのほか勉強会やイベント、バスツアーも開催しています。先日のバスツアーでは茂木町を訪れ、町有林材を活用した施設の見学や、里山保全活動を行っている企業を訪問して森林資源の循環利用について学びました。

会長に就任後、考え方、行動などで変化したことはありましたか?

人前で話す機会が多く、私の発言が「木輪」としての発信になるのでどんな言葉を投げかけたらいいのかよく考えるようになりましたね。活動を介して「こんなイベントがあるから参加しない?」「何かあれば声を掛けてね」と賛同してくださる方も増えてきたのが嬉しいです! 20代の会員も多いので、私は会の方向性を見失わないように舵を取り、若い世代の自由な発想・アイデアを温かく見守っていけたらと思っています。

 

「木輪」の活動では、どんな時にやりがいを感じますか?

イベントに参加された方が「楽しかった!また参加したい」と言ってくださった時です。また、自然と向き合うことでしか得られない体験もあるんですよ。この前のイベントで職人さんが伐採するところを見学したのですが、木を切り倒すためにくさびを打つ時の“カーンカーン”という音が静寂な森の中に響き渡り、何とも言えず感動してしまいました。

 

 

 

家族の支えがあるからこそ、仕事も子育ても全力で楽しめる!

現在、2人のお子さんの子育て中とのことですが、お仕事との両立で大切にしていることはありますか?

遠慮せず周りに頼ること! うちでは、洗濯は夫の担当です(笑)。 家事・育児の問題を自分の中だけで抱え込んでいては八方塞がりになってしまうので、現状を説明し夫や実家に助けてもらっています。

子育てを通し、仕事観・人生観で変化した部分はありましたか?

たくさんありますね。以前に比べ、考え方が柔軟になりました。最初は仕事と子育てに追われていましたが、子どもは親が思うようには動いてくれない(笑)。今までだったら対処できない自分をマイナスに捉えていたけれど、それを悪いことだと思わず親も一緒に楽しんでしまう方が、子どもにも良い影響を与えるんだなと思いました。

 

夢を叶えるには、まず行動してみることが大切!

今後の展望やチャレンジしたいことはありますか?

山での活動をもっと増やしていきたいです。鹿沼にある山を自由に使っていいというありがたいお話をいただき、その場所をどう役立てていけばいいか模索中なんです。伐採は終わりこれから植林を行うのですが、今の子どもたちや未来の子どもたちにまで循環していくような場所にしたい! 「木輪」の活動は、私にとってライフワークなんです。私たちの活動がどこまで林業界が抱えている問題を解決できるか分かりませんが、次世代へとバトンを繋いでいけるように地道に活動を続けていきたいです。

建築士を目指している方、夢に向かって頑張っている女性の方にメッセージをお願いします。

何事も前向きに、積極的に取り組んでいれば、必ず良いことが巡ってくるものです。そして思うような結果が出なくても焦らないこと! 私は第1子を出産した時、仕事との両立が上手くいかず落ち込むこともありましたが、2人目を出産した時には「もう諦めよう…」とフッと肩の荷が下りたんです。気持ちを緩めたら家族との時間を楽しめるようになり、それまで気付かなかった子どもの成長や意外な一面も見えるようになりました。なので、良い意味で諦めが肝心(笑)。頑張るのは悪いことではないけれど「こうあるべき」という固定概念に縛られず、自分のキャパシティを把握して力を抜くことも必要です。心に余裕ができれば自然と笑顔になり、良い循環も生まれます!

 

 

 

仲間からの証言!!

株式会社けんちくや前長
代表取締役 前澤 昌弘さん

部下であり、私にとっては妹でもあるので、誰よりも長い付き合いになりますね(笑)。未だに男性中心の建築業界で女性が指揮をとっていくのはハードルが高いと思いますが、毎日笑顔を絶やさず、本当によく頑張ってくれています。人生の一大イベントである家づくりは、ゼロから一の価値観を作るぐらい、作り手も相当なパワーを使うものです。その状況の中で依頼主の想いやライフスタイルに共感し、女性ならではの視点で新たな価値観を形にしていくので、素晴らしい能力を持っているなといつも感心しています。
社内や現場は男性スタッフばかりなので、彼女の持ち前の笑顔と明るさがムードメーカーにもなっています。兄妹だからこそ、時には仕事において本気でぶつかり合うこともありますが、それがあるからこそお客様にも満足していただける家づくりができるのだと思います。子育てや「木輪」との両立で大変なこともあるだろうけど、末永く「けんちくや前長」の核となる存在でいてもらいたいです。

ウーマンズデータ

マイブーム

プロバスケットボール「B.LEAGUE」の観戦

学生時代、バスケ部だったんです。プロの試合は迫力もあるし、見ていてかっこいいなと思います。同い年の選手が現役で活躍しているのも励みになります。

休日の過ごし方

家族や友人と楽しく過ごす

家族みんなで川がある公園によく出かけています。暖かい時期はキャンプも楽しみました。子育てサークルのメンバーとお泊り会を企画することもあり、大勢で賑やかに過ごすのも好きですね!

リフレッシュ

子どもと過ごす時間

子どもって、本当に面白いんですよ! 突然、思いもよらない行動をとったり、斬新な発想で気付きを与えてくれたり。一緒に過ごしているだけで本当に癒されます。

ある日のタイムスケジュール

 

 

好きな料理

イタリア料理toto(トト)

お隣の那珂川町で妹夫婦が営んでいるお店です。パスタ、ラザニア、何を食べても美味しい! 親戚みんなで集まる時は「トトに行こう」が決まり文句になっています。

COMPANY DATA

株式会社けんちくや前長 とちぎの木を活かす女子の会 ~木輪(もくりん)~

〒321-0634 栃木県那須烏山市野上389-9
TEL.0287-82-3311
FAX.0287-82-3473

けんちくや前長